
神田日勝は、北海道十勝で農業に従事しながら
独自の画風を開拓した画家です。
「農民である。画家である」と、彼は自分を語りました。
道外ではあまり知られていませんでしたが、
NHK朝ドラ「なつぞら」で主人公なっちゃんの幼馴染み、
山田天陽のモデルということで話題になりました。
私はずっと以前に遺作である「馬」を見て、
作品にも生き方にも心惹かれました。
素朴で力強く、少し哀しいところもある、
北海道の大地そのものと思ったのです。
「馬」は、日勝の絶筆で未完です。
彼が好んだベニヤ板に描かれたのは前半分だけ。
顔から順に仕上げていく描き方なので、
その部分は緻密で完成されています。

半分の「馬」は、見る人によって表情が異なるようです。
友人は、こちらを見て微笑んでいたと言いました。
私には、光を宿した目で静かに背後を見つめていました。
まるで自分が歩いてきた道を確かめているように。
前足だけで力強く立ち、今にも歩き出しそうです。
「馬」は、私にじんわりと生きていく力を与えてくれます。
そういうものとふれあうことも
私のヒュッゲです。

●神田日勝記念美術館
1970年に32歳の若さで夭折した画家、神田日勝の
生涯を記念して1993年に開館。帯広郊外の鹿追町にある。
(北海道河東郡鹿追町東町3-2)
▼神田日勝の画集
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