
図書館で見つけた古めかしい「北欧のインテリア」。
40年以上前にスウェーデン、ノルウェー、デンマークの北欧3国を訪れ、
ごくありふれた普通の家庭を取材したものです。
ストレートなタイトル通りインテリアの解説本かなと思って読み始めたら、
その背景にある暮らし方や人となりが生き生きと書かれていて、
それがヒュッゲそのものなので、思わずうわってなりました。
どこにもヒュッゲというワードは出てこないのですが。
世界中でブームになるはるか昔に、日本でもう紹介されていたなんて。
たとえば、あかり。「北欧の冬は恐ろしく夜が長いから、照明にそれは気を遣う・・・。
長い夜を少しでも楽しい時間にするための生活の知恵なのであろうか・・・」。
花を飾ることについても、「半年に及ぶ暗い長い冬を持つ風土が、
かえって人間にやさしい自然をもとめさせるのだろうか、実にまめに花を飾っている」。
そして、外を通る人が楽しめるように飾られたベランダの花を
「生活のゆとりというのではなく、心のゆとりがないと、できないこと」。
窓の飾りも同じことで、「外向きに窓を意識するような魂のゆとり」とあります。
他にも「台所を楽しい場所にするための努力を惜しまない」、
「食事をヒューマンに楽しむために食卓を演出」、
「家族一人一人が、好みのイスを置いて、快適にリラックスタイムを過ごす」など、
北欧の人々が営んできた日々のシーンが綴られていきます。
ヒュッゲは何かを成すことでなく、生活の中に息づく心のゆとりなのではと思います。
それを知るのに、いちばん分かりやすい本かも知れません。
著者の児玉芳子氏は、生活評論家で住宅フリーライター。
物のカタチやデザインの根本にある、それを使う人々の暮らしを見つめてきたのでしょう。
写真を撮影したカメラマンの熊谷晃氏も後書きで、
「インテリア写真の中に、人々の生活感情をできる限り盛り込むように心がけた」と言っています。
温かくて美しい北欧の豊かさは心の内にあるもの。
それこそが今に続き、大切に受け継がれてきたものと気付かされるのです。

